「みんなをめざす」
班学習を作る
班学習ならだれでもできる
4月の下旬には、班で相談できる時間を算数を中心にはじめる方法もいいでしょう。
課題を出し、適用問題からさせてもいいです。
その時、班の全員が終わったら机を前に並べなおしてください。と指示します。
「可視化」です。
班競争のような雰囲気がでてきたら、
「一生懸命するのはいいことだけど、先生はクラスみんなができるようになってほしいな」と言います。
同時に、最後まで残る班が多くの場合でます。
その原因は、
班によって能力の差があるから、
前の学年の学習をまったくしていなくて学習をすること自体に嫌悪感がある児童がいる。
学校で学習はしないと決めている。
などなどです。
学級での立場が弱い児童の場合は、班の力で改善しますが、すでに学級の仲間感や班でのチーム感をもてていない場合は、班での支援では改善しません。
個別に家庭訪問をしたり、個別指導をしたりもいいですが、一人の教師の力には限界があると私は思います。
班学習を崩す
班で早く課題が終わった人が教えるという学習のやり方を続けると、一部の子どもたちは他の班に教えに行こうとします。そこを見逃さずに、「いいことだね。みんなが分かることが先生もうれしいよ。」と言います。
つまり、「みんなをめざす」ことを伝えます。
これは,上記のサイトで説明されているマズローの欲求の5段階です。
これをQUの結果のグラフと関連させて考えると、
QUの満足群に移動することはマズローの欲求の5段階と関連していることが分かります。
「授業作りの「0」段階」に書かれている内容は,『学び合い』の授業の様子とよく似ている事がわかります。
A 能力は低いがみんなに愛されている子◯このような子がまずゴールできるようになります。いつもの友達が,何度も丁寧に教えてくれるからです。この姿を見取れればきっと教師は感動します。「誰一人見捨てない」が一番最初に出てくる形です。一斉授業で,おいて行ってしまってた子が笑顔になります。
B 攻撃はされないけど,バカと思われていると認識している子
○今までは,バカにされないように目立たないようにしていたが,名前プレートなどでゴールしていないことが,みんなに知られて,多くのサポートを受けれるようになる。教師の説明では分からなかった学習が分かるようになり,みんながゴールできたことを喜んでくれる。このような経験を通して,承認ポイントが上昇する。
A 学力や運動能力が高いが,クラスにメガネをいじったり,攻撃してきたりする人がいるので関わりを避けている子
○学力が高いので,安心できる友達に分かったことを恐る恐る説明するようになります。相手が「分かった」という声に,近くの子が気づき,「教えて」と言ってきます。この子は,恐る恐るいろいろな子に教えはじめ,最後には攻撃してくるかもと恐れていた子までが「教えてくれてありがとう」と言ってきます。これで,侵害認知が低くなっていきます。
B いじめられる,攻撃されるのが怖いので,かかわらないでおとなしくしている子
○名前プレートなどで,できていない子が可視化され,その子を救おうとする行動が増えてくれば,いじめられていた子も誰かが救おうとします。はじめは,この子にとって関わること自体が恐怖なのですが,周りが親しくリラックスして学習している姿をみて,クラスに安心感が広がり,最後に普通の子が普通に「一緒にしよう」と言ってくれるのは何度も私は見ました。
A スポーツ・学力が高く,はむかう人がクラスにいない,自己中心的な行動をしている子
だれも聞きにこないので、『学び合い』を否定します。発表の場もないので目立つ機会がぐっと減ります。しっかりと全体にどんな人に育ってほしいかを語り続けこの子の気づきを待ってあげてください。
B やんちゃで暴力を振るい,ボス的な存在の子
みんなが勉強が分かるようになると、ボスにつながっていた子から勉強をし始めます。そして最後に勉強を教えてもらうようになり,勉強が分かる楽しさを味わいます。人に虚勢を張る必要がなくなり優しくなります。
A バカにされ,攻撃され,はむかうこともできない。
○一部の子や多くの子にいじめの対象となっている子です。学力も低いので,教えることもできません。ここにいる子は,自己防衛のために自分から集団に入らないような行動をとったりもします。多くの子どもたちが,侵害行為認知群や非承認群の子どもを救う経験を通して,不満足群の仲間もきっと助けられると行動を始めます。徐々に仲間を信頼し最後に人生で初めての「ありがとう」を先生は聞くことになります。
B クラスに居場所がなく,学校に来ることがつらい子
◯不登校の子も,何かのきっかけで学校に来ることがあります。その時に温かい「誰一人見捨てない」クラスができている必要があります。
不安で不安でどうにかやっと学校にこれた子が『学び合い』で変わったクラスを見ます。いじめられていた子がいろんな人と笑顔で話しています。いじめていた子が「教えて」と仲間にお願いしています。そんなクラスの変化を見てこの子も学校に登校できるようになってきます。
https://cybozushiki.cybozu.co.jp/articles/m000376.html
に描かれているU理論の図です。
『学び合い』の見とりは,この考え方に近いと感じています。
①いつもの教卓から離れ立場をフラットにする。
②観察して断定しない。
③そこにいる子どもたちの心を感じ取る。
④感じとったことを高い次元から俯瞰する。時代、学級,社会・・・
⑤伝えるべきことを思ひ浮かべる。
⑥心の中で語りに変えたり、つぶやいたりしてみる。
⑦結晶化された一番大事なことを子どもたちに伝える。
『学び合い」の十瀬谷でなければこれが何を意味しているか分からないかもしれません。でも、クラスの子供をじっと観察し、感じ取れれば感動が生まれ伝えるのはべき事が浮かんでくると思います。
色々な手法で学級の課題を解決したくなります。
しかし、『学び合い』の考え方にあっているかをいつも自己モニタリングしていてください。