4月にやるべきことは,「指導者優位の確立」です。
担任が優位でなければ,語りもとどきません。一部の子には確かに届きますが,学校内で一人で始めるには確実に成功していく必要があります。
やること
魅力的な教師であると思わせる。
得意なことをして子どもに「この先生すごい」と思わせる。
私の場合は,ギターです。これで音楽やると子どもは喜びます。
歴史が得意な先生は歴史の話でもいいし,何でもいい。
この目的が「指導者優位体制の確立」を意識して行うことが大切です。
見ているよというオーラを放つ
私は一斉授業で4月を始めます。
色々なリスク回避のために普通の教師を装います。
板書中にノートを書き始めていない児童がいたら、注意をしません。
ここで、その注意を聞かなかったら、指導者優位体制を築くことにマイナスになるからです。
この先生の言うことを聞かなくてもこの程度か、と思われればおしまいです。
そこで何度か観察して、この場面であの子は板書を写さないと判断できた時に
板書しながら黒板を向いたまま、子どもの方を見ないで注意します。
「○○くん今写す時ですよ。」
そうすると何人かが「先生後ろに目がある」といいます。
そこで
「その通り、先生はみんなができるようになってほしいから7つの目を持っています。実はこの頭の後ろのところに」といいながら髪の毛を掻き分けます。
まあ、4月の注意はお笑いとセットがいいですね。どんな注意もお笑いとセットだと和らぎます。
学級目標を作る
学級目標を作ります。
私が高学年を持った時に必ず最初にするのが100マス計算です。
「全員が3分で終わる」を初めの目標にします。
コツは、内容を変えない、同じプリントでする。
3分でやめる。
できた人を立たせて可視化する。
です。
集中力はかなり上がってきます。
オプション
読み聞かせ
多くの年ではしませんが,あまりに聞き方が悪い時や、完全に教師に従わない文化がある学級の場合には読み聞かせをします。
とっても良く聞きます。
それをほめることで、聞く体制を作っていきます。
絵本作家に聞く楽しさを手伝ってもらう感覚です。芸術家はすごいです。あんな子がこんなに一生懸命聞けるというのが。
ほめていけば聞く子は増えます。ほめればもっと増えます。
どうしても聞かないで暴れる子がいたら、その子の興味にあわせて絵本を選びます。
これ以外にも、
教師の資質・能力 『学び合い』を始めるための基礎力 (4月学級開き前)
も参考にして下さい。
『学び合い』にたどりついた人の多くが、このページを嫌うと思います。
たとえば、ほめることも支配することの一つだし、注意して支配すること、指示で支配すること全て同じです。でも、私は、『学び合い』は、教師が子どもたちをとことん信じる事で成立すると考えています。
それは、子どもたちからも教師が信じられる必要があります。
今までの学校生活で傷付いていた子供たちもいるでしょう。
だから、スムーズに移行する為には、教師の有意性は4月には必要なのだと思います。
特に、はじめて実戦を始める人には必要だと思います。
1時間目はワークシートの使い方を伝えましょう。
わたしは、今年から教科書の絵や図の全く入っていないワークシートをb5で印刷して、ノートの左のページに貼り、右のページに子どもたちが問題を解いて行くワークシートを作っています。
これは、教科書の著作権に違反しないようにしてワークシートを公開する為です。
個人で、学習用につくるなら教科書の図の入ったものでいいと思います。
一時間目は、ワークシートの使い方をみんながわかるようになる。がめあてです。
2時間目には、名前プレートを使い始めます。
「誰一人見捨てない」を語ります。
そして、誰一人見捨てないために、みんなの名前プレートを使うことを伝えます。
誰ができたではない、みんなが出来たをめざすことの大切さをしっかりと伝えてください。
「第2次福岡市教育振興基本計画」の学びの柱である自学とも学にある「主体的に学ぼうとする態度、友と供に知識や知恵を身につけながら学ぼうとする態度」の具現化のために
「ふりかえり」をしてください。
主体的に学ぼうとする態度は、メタ認知からうまれます。
メタ認知は自分を客観的に観る力、ですから、他人と自分を比べる環境で学習しないと身につきません。
また、友だちととも学をして、自分の考えが深まったり、広がったりした成果を残す為にも必要です。
この、「友だちととも学をして、自分の考えが深まったり、広がったり」は、確かな学力の向上の主な指標にもなっていますので、職員室の会話や「学力向上」の研修で話題にして行きましょう。
「主体的な学び」のイメージをしっかりと持っている事がこれからの実践を語る上で大切。
詳しくは「主体的な学び階段」を参考にしてください。
4時間目のはじめの「語り」に、昨日の学習でどんなことを振り返りしたかを問い、だから今日はどんなことを頑張りたいかを聞いてください。
ここで教師が思っている改善点が出なくても引っ張らないでください。
ここで、教師の話術で引っ張ってしまえばその時点で主体的な学びではなくなります。
じっくりと子どもたちの主体性を育ててあげてください。
それは、「自由の相互承認」であり「教師が支配しない主体的な学級づくり」となって行きます。
このページのはじめの「教師の優位性」とのバランスを考えながら進める事が学級のリスクを減らす事になります。
『学び合い』をはじめて5時間一番大切な事は、教師のこころです。
『学び合い』は子供たちの素の姿が表れますので不満や不安もたくさんあると思います。
しかし、同時に本当のその子の良さも現れています。
こんなことを見とって褒めてあげてください。
自分から仲間に質問している。
自分から教えに行っている。
時間を気にしている。
出来ない人を探している。
仲間を心配している。
分かってもらえるまで諦めずに教え続けている。
そこにある子供たちの良さは、教師であるあなたが教えたものでも作ったものでもありません。
人間が本来持っているの生きるための知恵が現れているのです。
そして、そんな子供たちの姿に「ありがとう」を伝え続ける教師でいてください。
4月には、はじめての「授業参観・懇談会」がありますね。
ここで、グッと保護者の気持ちを引き付けられれば安定的に『学び合い』の実践を続ける事ができます。
授業を見てもらう時のポイントとなる資料も配るといいですね。
この資料は、必ず貴方の学校の校長先生も見ます。
校内向けのアピールにも繋がります。
本日は、参観していただきありがとうございます。
今回の算数の練習問題は、すべて『学び合い』で行います。
『学び合い』の学習は、
○ みんなの力でみんながわかることを目指します。
○ 最後に評価を行いみんなが合格できることをみんなでめざします。
また、振り返りでは、
○ みんなをめざして学習できたか。
○ 課題を達成することができたか。
○ いろいろな人と関れたか。
を反省します。
昨年持っていた◯年生では、
1学期の学期末のテストで、かなりよい結果をだすことができました。
2学期には、みんなが80点以上を取ることができました。
しかし、本当に目指すのは、『みんながわかった』と思える学習、みんなが幸せな学習で
す。
わからないで、自分のノートを隠す子はいなくなってきました。
わからないで、人の発表を黙って写す子ほぼいません。
わからないことは納得するまで何度も何度も聞きます。
聞かれたら、何度も仲間を思って工夫して教えようとします。
最近では、自分にとって一番わかりやすい説明をしてくれる人を自分から探して一緒に
学習することができるようになってきました。
学習が苦手な子にとって、教えてもらっているうちは、苦しい学習だったようですが、
不思議に、自分から聞きにいくようになって、学習時間の笑顔が多くなります。
きっと、こんな些細なことから意欲は高まっていくのかも知れないと思っています。
こんな学習の中からこのクラスの仲間はできています。
ぜひ、子供たちの中に入って、どんな説明やどんな質問や、どんな会話をしているのか聞
いてあげてください。
Benesseの資料をつけるのもいいですね。
全員立ち歩くのが『学び合い』ではありません。
『学び合い』の本体は「誰一人見捨てない」心です。
班ではじめてもいい
リスクを常に意識して、コツコツと進めてください。